854 硫黄島産業

いったい今は何をしている会社?


 街を歩くときは、できるだけいろいろなものに注意を払って「何かないかな」…と、ほとんど無意識の間に探している。この「何かないかな」で探す対象というのは、「なんとなく心惹かれるもの」と漠然としてるので、人に説明することはちょっと難しい。

 そんな「何かないかな」は、そう簡単に見つかるものではないし、新橋や汐留も見慣れてくると、どれも風景の一部として溶け込んでしまい、ますます見つけにくくなってくる。

 今日久しぶりに「おっ」と気になる物件を見つけた。

 硫黄島産業」

 新橋駅前の雑居ビルの一角に「硫黄島」とは、なんと場違い…。東京から実に1000km以上かなたにある小さな島の名前が付いた会社が、何でこんなところにあるんだろう?と気になって調べてみた。googleで検索してみたところ…東京都小笠原村のサイトと神奈川県大和市のサイト、参議院会議録が見つかった。>

 小笠原村のサイトによると、そもそも硫黄島は、その名の通り硫黄の採取を目的に開拓された島で、戦前は、硫黄島産業という会社が、硫黄の採集と、火山の蒸気熱を利用してレモングラス(レモン草)から香料の原料を蒸留していたという。
 大和市のサイトでは、米軍基地移転に関する記述の中で、硫黄島産業KKが民有地を保有しているとあって、いまでもこの会社がしっかりと存在していることを表している。
 参議院の議事録では昭和43年とちょっと古いが、150万坪以上の土地を持っているとの記述がある。硫黄島の大地主なのだ。