654 不安な街

汐留は鉄道発祥の地ということもあって、この場所自体にある種の畏敬の念を持っている。それはお台場とか六本木といった、同様に大規模に開発された場所とは違った感覚を持っている。それだけに、この汐留の大規模な再開発事業が、僕にはとても成功しているとは思えないことは、残念でならない。古くからの街ならばともかく、再開発された地域一帯では、統一されたデザインでわかりやすい案内図があり、複数の建物が当然連携しているものだ。しかし、ここ汐留では、超高層ビルがギリギリまで密集して、それぞれがそれぞれの中では完結ている。建物ひとつひとつはすばらしいかもしれないが、各ビル間での連携はまるで考えられていないような印象を持った。当然と言えば当然なのかもしれないが、今いるビルの情報はわかっても、隣のビルの情報はわからないし、自分の行きたいビルがどこにあるのかという簡単なことも、場所によっては、いったん外に出ないとわからないという状況は、初めて訪れた人を不安に陥れてしまう。街の印象をどう持ってもらうかをその街全体で考えていくべきじゃないだろうか?(2004.7.5)