647 ヘビ

気が付くと朝になっていて、気が付くと乗換駅の階段を上がって、気が付くとお昼になっていて、気が付くと帰りの電車を待っていて…と、いつもの、ただただあわただしい一日が終わり、もうちょっとで家に着くというところで、いつもと違う光景を目にした。遠くで紐のようなものが、くねくね動いている。近づいてみると、それはヘビだった。こちらが近づくとヘビの方も近づいてくる。向こうから一台のタクシーが近づいてくるのがわかった。このままでは轢かれてしまうのではと心配だったので、あえて車道寄りに乗っていた自転車を止め、ここに何かがいるということをタクシーの運転手に知らせることにした。やってきたタクシーはうまくヘビをよけて走り去ってくれた。ヘビは何事もなかったかのように反対側の歩道の生け垣の中に潜り込んでいった。どうかこのまま無事に過ごせるように…と思わずにはいられなかった。(2004.6.24)